「脱時間給制度」の名称が「高度プロフェッショナル労働制」に変わったようだ。

「脱時間給制度」の名称が「高度プロフェッショナル労働制」に変わったようだ。

最近新聞を読んでいると、ちまたで「残業代ゼロ制度」と嫌なイメージで呼ばれていた「脱時間給制度」の名称が「高度プロフェッショナル労働制」に変わったようです。

時間に縛られない働き方が出来るようになるということですが、この法案に効果はあるのでしょうか?

「高度プロフェッショナル労働制」の内容

主な部分は96%の労働者には関係のない法案

この法案のメインとなる部分はやはり「年収が1075万円以上で特定の職種の人のみ、割増賃金(残業代、休日労働、深夜労働等)をゼロにする」というところです。

この“年収が1075万円以上の労働者”というのは、全体の4%しかいないということです。

採用されたところでほとんどの人には関係がないということです。

適用されるのは一部の職種

また、年収が1075万円以上だからといって、すべての職種に適用されるわけでもなく、

  • 金融ディーラー
  • コンサルタント
  • 金融商品の開発
  • 研究開発
  • アナリスト(評論家)

などに限定されるようです。

例えば、海外とやり取りをする為替ディーラーは、仕事をする時、常に時差が関わってきます。

そのため、必然的に働く時間が深夜や休日などに。

すると企業側は、割増賃金を支払わなくてはならなくなってしまいます。

それを防ぐため、こうした法案を考え出したというわけです。

働き過ぎを抑えるための対策も盛り込まれている

ただこの法案は、割増賃金を無くすだけではなく、過労を防ぐための対策も盛り込まれています。

それは、最低でも以下のどれか1つを企業に義務付けること↓

  • 会社に滞在する時間に上限を設けること
  • 仕事が終わってから開始するまでに時間を設けること(インターバル規制)
  • 年間に104日の休日を設ける

上の2つは時間が決まっていないのでアバウトな感じになっています。

一般の労働者にも適用される良い面も!

この法案には、一般の労働者にも関係のある政策が盛り込まれています。

それは、

  • 企業側は最低でも5日間、労働者に有給休暇を消化させること
  • 中小企業に割増賃金の増額を要求

です。

通常有給休暇は自分から申請しなければ取れないものでしたが、企業側に消化義務が発生することになるので嬉しいですね。

しかし2つ目に関しては、実現性はないように思います。

中小企業側は、割増賃金を増やすくらいなら会社の成長にお金を使いたいと思うでしょう。

「高度プロフェッショナル労働制」の危険性

今後、適用枠が広がるのではないか?

今は「年収1075万円で特定の職種」にのみ適用すると言っていますが、今後適用する職種、条件が下がってくる可能性もあります。

残業代を支払う必要がなくなれば、企業側にとっては働かせ放題です。

無理に残業する人は、

  • ノルマが達成できていないのだから当然
  • 自己責任
  • 仕事の効率が悪いだけ

と言われるようになることが予想されます。

それが蔓延すれば、過労死する人は確実に増えるでしょう。

ここに来て名前を変える?その意図は何か?

これまでは「脱時間給制度」と言われていたものが「高度プロフェッショナル労働制」という名称に変わりました。

これは「脱時間給制度」が「残業代ゼロ制度」という不本意な名前で呼ばれるようになったからでしょう。

名称が「高度プロフェッショナル労働制」と変わってしまい、一度聞いただけではどんな法案か分からないものになってしまいました。

「プロフェッショナル」とか横文字まで入れちゃいました。

これは国民の関心を削ぐためのもので、同時にイメージアップを図ったのですね。

適用する職種を細かく設定する必要はある

“海外の時差が影響して割増賃金を払わなければならない企業のため”というのは分かります。

しかし、それならそういった職種にのみ適用するべきです。

“年収1075万円以上”というざっくりとした条件を加えるのには疑問が残ります。

今後“年収700万円以上”のように、数字を変えるだけで簡単に適用枠を下げることが出来るようになっていますね。

企業側には「おいしい法案」である。労働者側がどこまで使いこなせるかにかかっている

もし、適用される条件が今後変わってくるようなら、かなり危険です。

当たり前のことですが、残業する人というのは、仕事が終わっていないからで、そうした人たちは平気で休日出勤します。

労働者の中には、

「時間外労働しても企業は賃金を払わなくていいんだから、いくら残業してもいいでしょ?」

と考える人も出てくるでしょう。

なぜならサラリーマンの中には、タイムカードをわざと早めに切って、そのあと残業を続ける人もいるからです。

こうした人たちは企業内の評価を気にしています。

(“残業時間が少ないのに成績が高い”というのが、社内で評価が高くなるポイントです)

企業にとっては、従業員が働き者であればあるほど、おいしい法案です。

また、過労を防ぐための対策がアバウト過ぎます。

現状でブラック企業も取り締まれないのに、こんな大雑把な対策ではさらにブラック企業を増やすことにつながるでしょう。

時間ではなく成果に合わせて給料を支払う「高度プロフェッショナル労働制」は、今のままでは残業する人間を増加させる可能性も十分にはらんでいるのです。

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