近年、幼老複合施設が増えつつあります。
幼老複合施設とは、保育所と介護施設を合体させた施設です。
ここでは、幼老複合施設のメリットとデメリットについて書いていきたいと思います。
幼老複合施設のメリット
財政難な自治体の有効な手段
まず、幼老複合施設は財政難な自治体にとってメリットがあります。
なぜなら、既存の建物を使うことで新たに費用をかけなくて済むからです。
- “既存の保育所にデイサービスセンターを併設する”
- “養護老人ホームに保育園を併設する”
こうすることで、なるべく少ない費用でその地域の要望を叶えることが出来るのです。
また、土地がない首都圏では特に幼老複合施設が有効です。
保育所や介護施設を新しく建てたくても土地がなくては建てることが出来ないため、必然的に複合することになるのです。
そのため、幼老複合施設は首都圏で増える傾向にあります。
高齢者の活力が上がる
子供たちと触れ合うことで、高齢者の行動力増加につながっています。
積極的で無邪気な子供たちと接することで、これまで引きこもりがちだった高齢者には自然と笑顔が溢れます。
また、普段杖を使っているお年寄りが子供たちの前では杖を使用せずに元気な姿を見せたり、希望者は幼児のお昼寝にお手伝いとして付き添ったりします。
生きる楽しみ、生きがいが芽生えるのです。
子供たちとの触れ合いは運動にもなり、健康にも良い影響を及ぼすでしょう。
子供たちの心が豊かに育つ
子供たちが高齢者と触れ合うことで、心が豊かに育ちます。
核家族化が進む現代では、子供が高齢者と関わりを持つ機会は減ってきています。
しかし、幼老複合施設の中では、現代にはない高齢者と子供の交流が生まれています。
子供たちは高齢者とのコミュニケーションを通して、
- マナー
- 様々な知識
- 高齢者をいたわる気持ち
が自然と身に付きます。
中には施設の関係を飛び出し、プライベートで子供とお年寄りが会うこともあるようです。
さらに、幼老複合施設に通っている子供が、公共機関を使用している際にお年寄りに席を譲り、保護者が驚いたこともあったようです。
このように小さい頃から豊かな心が育つのです。
少し話は逸れますが、幼老複合施設が増えれば、お年寄りをいたわる人が増え、将来的に高齢者を狙った「オレオレ詐欺」などの犯罪撲滅にもつながるのではないかと考えられます。
幼老複合施設のデメリット
職員の負担の増加
しかし、メリットばかりではありません。
幼老複合施設は、その取り組みに力を入れれば入れるほど職員の負担が増える傾向にあります。
子供と高齢者の交流は野放しにしておけないので、管理するのに労力がかかりますし、高齢者が常備している薬の子供の誤飲など事故があってはなりません。
また、インフルエンザが流行る季節などは、施設外を行動する子供を通して高齢者に感染が広がる可能性もあります。
幼老複合施設はだんだんと広がりを見せていますが、まだまだ数が少ないのが現状で、これからどんな困難・問題が発生してくるかも十分分かっていません。
しかし幼老複合施設は現代必要とされる機能を秘めています。
今後は、施設間の連携や情報の共有、規則の整備などがより必要になってくるでしょう。