私は軽度なのかもしれませんが、吃音だったと思います。
もともと私は人前が苦手なほうで、多くの人の注目を浴びることなんてもってのほかです。
ここでは私の吃音事情と、どんな就活をしていたかについて書いていきたいと思います。
私が吃音を意識し始めたきっかけ
正直なことを言いますと、私は“吃音”という言葉はつい最近知りました。
ただ、「なんでか言葉が言いづらいな…。本当に俺は滑舌が悪いんだな…」と思うことはしょっちゅうありました。
「言葉が言いづらい!」と思い始めたのはアルバイトを始めた頃です。
私は1年中運営している体育館の温室プールの監視員のアルバイトをしていました。
そこでは監視だけではなく、1時間ごとに休憩の放送文を読まなければなりませんでした。
(全部読むのに1分(休憩の開始と終わりそれぞれ)くらいかかる文章でした)
例えば、
「来館のお客様に、お知らせいたします」
「ありがとうございました」
「お疲れ様でした」
です。
放送文の中で、赤文字で示したような“文の最初に来る母音”や“ラ行”が言いづらかったのです。
息がスムーズに、すんなり出てこないといいますか…
この時は“吃音”というものの存在を知らなかったので、
- 自分は緊張しやすいんだな
- 放送は“みんなに聞かれてる”って強く意識してしまうからうまく言えない…
- 他の人より噛むし、きっと滑舌が悪いんだろうな
などと思っていました。
そして放送を読むのが本当に嫌いでした。
就職活動への影響
就職活動をしている時も、自分が吃音だなんて思っていませんでした。
ただの滑舌が悪い人だと思っていました。
就活では人と話さなければならない“面接”があります。
この時、私の苦手な「ありがとうございました」は必ず言う場面がありますし、特に長い面接になると30分くらい時間がかかるものもあります。
面接前はいつも、
「あ~、滑舌悪いし、口下手だし、会話なんて出来ない」
と思っていました。
案の定、毎回「ありがとうございました」は噛んでいましたし、たまに言えな過ぎて、何を言っているのか分からなくなる時もあってかなり焦りました。
また、ほとんどの面接で「緊張してる?あんまり緊張してても話せないからね」と言われていました。
(この時は正直に「はい。緊張しています」と言っていました)
どんな面接対策をしていたか?
とにかくうまく話せないことが多く、口下手なので、私は「話す言葉をあらかじめ決めておく」という対策をしていました。
(面接対策について⇒【私の体験談】2月は会社説明会と選考の嵐が近づいてきた。でもエントリーシートは攻略!超口下手な私はとにかく面接の準備をした。)
あらかじめ言葉を決めておいても苦手な言葉は苦手のままですけどね。
しかし、面接で聞かれることはどこの企業も同じものが多かったので(志望動機・自己PR・長所・短所など)、それらの質問に対する答えは丸暗記していました。
話すことが決まっていると少しでも心に余裕が出来るので、どもることも減ったように思います。
“どもり”の原因と克服方法を考える
私はどもる時とどもらない時があります。
その違いは自分でもよく分かっていました。
どもる時⇒「人から注目を受けている」、「今は重要な場面だ」と自分で過剰に意識をしてしまっている時。
どもらない時⇒プライベートで誰にも気を遣わなくて良い時。気を遣わなくてもよい相手と話している時。
です。
原因
これらの経験から考えると、どもる原因はメンタルの影響(自分で自分にプレッシャーを掛けていること)が大きいのかなと感じます。
緊張している時は、「今日はどもらないようにしよう!深呼吸しよう。ハー、フー」としても、結局どもります。
無意識のうちに自分に「ミスしないように!」とプレッシャーを掛けているのです。
克服方法
克服するためには、自分にプレッシャーを掛けないようにすることが大切だと思います。
そして、プレッシャーを掛けないようにするためには、「自分は吃音を克服しなくていいんだ」と何度も何度も自分に言い聞かせなければならないと思います。
これらは矛盾していますが、
克服しようとする⇒プレッシャーが掛かって治らない
克服しようとしない⇒プレッシャーが掛からず、知らないうちに改善する
だと思います。
以前はいつもこう思っていました。
「緊張しないようになりたい。重要な場面でもプライベート感覚で話せるようになったら、どもらなくなるんじゃないか」と。
しかし今はこう思うようにしています。
「どうせ緊張してどもってしまう。だからそれでいいや。別に俺がどもったところで誰も気にしないだろう」
このように思考を変えたことで、話している途中に「ミスしたくない!どもりたくない!」と考えることが減りました。
変な意識をすることが減ったので、少しですがリラックスして話せるようになったと思っています。
ただ、こう書いている私は軽度の吃音なだけかもしれません。
私の知り合いにも吃音の人がいましたが、入社当時は営業職でかなり苦労したようでした。
(今はほぼ完璧に営業職を全うしてますが、最初の頃は上司に「営業は向いていない」と言われ、一時的に部署を変更させられていました。可哀そうに…)
「吃音にかなり困っている…」という人は、本当に吃音に苦しんでいた人の改善方法を知ることが克服の近道だと思います。
吃音を本気で治したいと思っている人のために【M.R.M】吃音(どもり)・改善プログラムというものが世に出ています。
本プログラムは、
- これを作った中村しょうさんが、過去に吃音に苦しんでいたこと
- 呼吸法や薬に頼るのではなく、私と同じような考え(メンタル重視)を持っていて共感が持てたこと
などから、他の啓発本などよりも価値はあると思いました。
就職活動だけでなく、入社してからは電話対応など、言葉を発する機会はたくさんあります。
もし、そうしたことを非常に心配している人がいたら、将来の自分に投資をしてみても良いのではないかと思います。